幸福学概要:幸福学研究に関する研究や活動の現状(概要)

ようこそ幸せのページへ2013年から日比谷公園で世界ハッピーデーを祝う企画”ハッピーデー東京”が企画されたり、2014年1月にNHKのEテレで幸福学白熱教室(注)が放映されるなど、「幸せ」「幸福」に関する活動や研究が日本でも活発化しています。また、ポジティブ心理学、マインドフルネス、レジリエンスなど、関連する分野の活動と研究も活発化しています。そこで、このページでは、その全体像をご紹介します。
注)内容は書籍『「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室』(KADOKAWA/中経出版、2014年)にまとめられています。



しあわせの定義まず、幸せに関連した言葉として、幸福、ハッピネス、ウェルビーイングなどがあります。幸せと幸福は現代ではほぼ同じ意味と考えていいでしょう。ただし、和語であるしあわせの語源は、する+あわせる。元々は、何かをして誰かと巡り会うことを”仕合わせ”と言ったと考えられています。英語のhappinessは、日本語の幸せよりも時間スパンの短い場合(「いま楽しい」というような感情的な幸せ)も含むと言うべきでしょう。Happyの語源はhappenと同じです。今何かが起こることから始まる動的な幸せです。well-beingという言葉もあります。いい状態であること。well-beingは、健康とも幸福とも訳されます。
よって、「幸せ(幸福)」「happy」「wel-being」は、重なり合ってはいますが、異なる意味の言葉と考えるべきでしょう。このように、言葉の定義が微妙に異なることが、幸福学研究を難しくしている面もあると言うべきでしょう。

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しあわせに関連する分野しあわせに関連した分野には、ポジティブ心理学・マインドフルネス・レジリエンスなど、様々なものがあります。それらの関係は以下のようになっています。

幸福学に関連する研究と活動の全体
私たちは、幸福学とは、幸せについて考える学問分野と実践分野全般を指すものと考えています。ポジティブ心理学(Positive Psychology)は幸福学と近い分野ですが、スコープが少し違います。幸福学には、図に一部を示したように、幸せに関する心理学、経済学、教育学、システムデザイン・マネジメント学、臨床心理学、精神医学、医療・福祉工学などの学問分野と、それらを応用する実践分野(カウンセリング、コーチング、マインドフルネス、レジリエンスなど)を含みます。ポジティブ心理学は、ペンシルバニア大学のセリグマン教授らが始めた分野です。セリグマンはもともとうつの研究者でしたが、心理学会会長の時に、元気な人もより幸せになるべきだと考えて、幸福学の研究成果を様々な人が実践する分野としてポジティブ心理学を始めたと言われています。また、クレアモント大学のチクセントミハイ教授が提唱しているフロー、ゾーンなどの研究と実践も含まれます。
よって、ポジティブ心理学は、我々のいう幸福学よりもやや実践的な分野で、必ずしも幸せだけを対象とはしない実践分野だといえるでしょう。 近年では、アメリカのグーグル社が全社員の幸福度を高めるために始めたマインドフルネスの瞑想を中心とするサーチインサイドユアセルフプログラム(Search inside Yourself Program)などの活動が盛んです。このようなマインドフルネスを広める活動も幸福学の関連分野といえるでしょう。 また、レジリエンスという言葉も盛んに使われます。レジリエンスとは、復元力、バネが元に戻ろうとするバネ力、というような意味です。レジリエンスは、個人のレジリエンス、社会のレジリエンスという2つの文脈で使われます。個人のレジリエンスとは、病気や事故・天災などの困難からよりよい状態に戻る力を表し、幸福学に近い分野と考えられます。社会のレジリエンスとは、地域などのコミュニティーが社会として困難から立ち直る力を指します。個人の幸福ではなく社会の幸福を考えているとも捉えられますので、広い意味では幸福学の関連分野といえるでしょう。

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幸せの応用研究幸せに関連する分野は幅広く、以前より、世論調査や市場調査などで生活満足度や消費者満足度の調査は行なわれてきました。また、企業内における従業員満足度の調査も活発化しています。これからは、これをさらに一歩すすめて、「顧客幸福度」「従業員幸福度」の研究が必要になってくるのではないかと考えられます。
幸せ、喜び、ハッピー、笑顔、生活満足、生き甲斐、生き生き……。広い意味では社会関係資本の研究、地域活性化の研究など、様々な分野が幸福学関連分野であるといえるでしょう。いや、極論すれば、全ての人間の活動はそもそも幸せに関連すべきだともいえるかもしれません。そういう意味では、あらゆる分野は幸せの応用研究分野であるといえるでしょう。

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